「もう泣くな」 「ありがとうございました」 あたしは泣いて晴れた目のまま言った。 「……わりぃけど、ツレがいるから…。じゃぁな」 あたしのヒーローは人ごみの中に消えていった。 あたしたちは黙って彼の背中を見つめることしかできなかった。 「凛、あたしたちのヒーローカッコよすぎじゃない?」 「……だね」 あたしからしたら、かっこいいどころじゃない。神級! 誰だったんだろう?