「怖かった」



本当に怖かったあたしは見知らぬあたしの王子様の胸で泣きじゃくる。



「もう大丈夫だ」


もうやられなくて済むと分かっていても、あたしは周りの目を気にせず泣いていた。


今考えてみるといきなりあんなに泣かれて迷惑だったよな…。

でも、あの時はほんとうに怖かった。



「グズッ……ヒックッ……」


「あ~あ、どんだけ泣くんだよ。服ビチョビチョなんだけど」


「ご、ごめんなさいっ!」