キャーキャーと甲高い女子の声が、廊下中に響きわたる。



そんな声に思わず耳を塞ぎたくなる。



鼓膜破れちゃうから!



なんて思いながら、あたしは声を浴びせられている人物をチラッと見れば目が合った。



ふいっとすぐに目を背けて、あたしは教室に向かう。



教室に入れば、ポニーテールを揺らしてあたしに近づく可愛い女の子。



「おはようっ!」



元気いっぱいの笑顔であたしにそう言ってくれて、そのことに嬉しくなって。



あたしもまた笑顔で挨拶を返す。



「まぁちゃん、おはよ」



鞄を机の上に置いて席に座ると、まぁちゃんがあたしの机に手をついて廊下を眺める。



「すごいよねー…さすが王子様って感じ…」



ぼそっと呟く一言に、あたしは溜め息をついた。



女の子も女の子で飽きないね、なんて珍しいものを見るかのように言うまぁちゃんに小さく頷いた。



「まぁ確かに…篠崎くんかっこいいもんなぁ〜」



遠くを見つめるかのような目をして話すまぁちゃん。



あたしも…かっこいいとは思うけどね。



近づきたくない。