持っていた小説の文字を目で追うように見せて、ちらちらと『雛乃』の様子を伺う。


ハルと同じ髪質のショートカットで、一見平凡な顔つき。


話し掛けるにも、相手も俺の様子を伺ってるのが目に見えるから、話し掛けられない。



困っていると、俺の為に席を移動した前の女が振り向いた。

「佳祐君、アタシ南野美月! よろしく!」


誘うような上目遣いで俺を見つめる南野。


確かにそれなりに美人だけど、女優やタレントを見慣れた俺からすれば、そこまで見惚れるような美人じゃない。