-Side雛乃-


「ヒナ、どうしたのよそれ。」


一夜明け、学校へとたどり着けば早々稚世に頬の傷を指摘される。


「いつものコトだよ。それより稚世。知香子知らない? まだ来てないの?」

「…知香子、ねぇ。さっきまで居たんだけど……。」


稚世はうーん、と考えるそぶりをしながら、眉の間にシワを寄せる。


「居るんならいいか。あとで帰って来るでしょ。」


「それもそうか。それより、雛乃サン? そのキズの経緯なんて話す気ないかしら?」


嫌な笑みを浮かべて稚世が近づいて来る。


……こいつ、吐かせる気だ。


思わず後ずさる私にかまわず、またニヤつきながら近づく稚世。



「―――あーっ、もう、わかったよ! 話せばいいんでしょ、話せば!!」