「さぁ? 水陽は私が嫌いだからね。大方、あのオネーサマあたりにデレデレして騙されてんじゃない?」


吐き捨てるように呟き、足元に転がる空き缶を力任せに蹴飛ばす。


ガコンッ! と固い音が響いて、空き缶は塀に衝突し、形を変えた。



「……あんな奴、居なくなればいいのに」



私を心配する訳でも無く、ただただ軽蔑し、邪魔物扱いしてくる片割れ。


正しい反応なのかも知れない。妹が毎日生傷をつけて帰宅するのは午後8時。


父さん母さんは事情を知らずに呆れ返る。

兄ちゃん姉ちゃんは、知香子経由で事情を知っていても、狡猾なオネーサマ方には勝てず、帰宅した私に手当てを施すだけ。