「……あぁ、ごめん、稚世。」


また、やってしまったんだ。




知香子の声が聞こえると、私は精神が乱れてしまうんだ。


そして、稚世はそれを静める為に私を殴った。


よくある事。


でも、最近は少なかったのに。





「………知香子がね、頭の中で泣いてるの。」


重い、想い。


ワタシのアタマで、チカコは。



「あんたなんか、死んじゃえ。ってね」



そうして、夏の名残の入道雲を見上げる。


果てしなく高い空に、重く浮かぶ入道雲は、あの日とあまりにも似てた。





そうだ。

私がまだ、水陽に嫌われていた時。



時は、2年前に遡る。