「どこにいたんだ?りょうすけとお母さんは」
「おかいっ…ものにね、いっ…たの」
「買い物?あ、スーパーか?」
「うんっ…セブンス…」
「ははっ、セブンスーパーか。お前あそこからここまで歩いたのか、すごいなぁ」
そっと顔を出して、あいつのいる方を見た。
そしたら、あいつ、男の子の頭をヨシヨシって撫でて。
「よし、多分お母さんもりょうすけのこと探してるだろうし、一緒にセブンスーパーまでいこう」
そう言うと、小さな手をそっと握って。
「泣くな、男の子だろ?」
男の子の目線までしゃがんだ。
「うんっ…」
あっ…
泣きやんだ?
「でも…しらない人についてっちゃだめだっ、てママ言って…っ…」
「ははっ、お前なかなか賢いじゃんか」
あいつがそう言って笑う。
「えへへっ、でもおにいちゃんやさしいから大丈夫だね」
そしたらその子も笑ってて。
「いや、優しいフリした悪いやつもいるんだぞ?」
「えっ⁉…」
「ははっ、ウソだよ、ごめんごめん。じゃ、いくか!」
「うんっ!」
歩き出した二人の後ろ姿。
あたしはそれをそっと見届けると、ゆっくり来た道を戻っていく。



