「今日バイトだっけ?夏美」
「うん、バイト!今日で三回目」
学校が終わり、駐輪場へと向かう春ちゃんとあたし。
先輩が卒業してから、これでも少しだけあたしは変わった。
いちいち周りを気にしなくなった。
バッタリ会うことも、見かけることもなくなったおかげで、思い出すことも、かなり減った。
なんか堂々と、
校内を歩けるようになった。
「三回目かぁ。慣れた?」
「うーん…慣れたかな?まぁ覚えることいっぱいだけどね」
「そっか、私も何かバイトしよっかなぁ」
「うん、してみたら?って、春ちゃん、あそこ見て!超綺麗!」
「ん?」
桜の花びらが、ヒラヒラと舞う。
「本当だぁー!何か早いね、一年って」
そう言った春ちゃんの横顔を見て、あたしはコクンと頷く。



