「あー、あっちー」


「まだ梅雨だってのになー」


「今でこれじゃ真夏とかやばくね?」



曇り空のくせに、朝から気温は高くて。

駐輪場に自転車をとめながら、肌に感じる湿気とどんよりした空気にハァっとため息が出た。



「おはよ、清原くん!」


やけに元気の良い声が、後ろからキーンと響く。

そしてその声のした方へ振り向くと、そこにはあの子が立っていた。



「あっ、春…ちゃん、だな。おはよう」


「うん、おはよ。あ、チェーンね、あれから一回も外れてないよ!」



初めて“春ちゃん”なんて呼んだのに、反応は全然普通で。



「そっか、よかった」


「うん、本当にありがとう!じゃ、またねー」



ニコッと笑って歩いていく。


あいつの一番仲の良い友達。

顔はタイプではないけど、律儀にまた礼を言ってくるあたりを見ると性格は良さそうだ。