「そうだったんだ…」
下校途中、あたしは春ちゃんと自転車を押しながら並んで歩いていた。
三浦さんに聞いた、あのことを話しながらゆっくり歩く帰り道。
ふと隣に目を向けると、春ちゃんがポツンとつぶやくように言った。
「清原くん、見た目はチャラチャラしてるけど…やっぱり人を見た目で判断するのはよくないのかもね」
「うん…」
「私達には分からない何かがあったのかもしれないし。あんな風になった何かが清原くんにはきっとあったんだよ」
そう言った春ちゃんの言葉に、あたしは黙ったままゆっくり頷いた。
「じゃ、また明日ね」
「うんっ、また明日!」
バイバイと、別れるいつもの交差点。
自転車にまたがったあたしは、ゆっくりとペダルに足を乗せて漕ぎ出す。
この日、バイトまでの道のりはあっという間だった。
ボーッとしていたからなのか、気付いたらもう自転車はお店の前に着いていて。
自転車をとめると、あまり気分も上がらないまま店内へと足を踏み入れた。
「おはようございます」
更衣室に行き、着替えを済ませてタイムカードを押す。
いつものバイトの、いつもの始まり。
だけど、何かが違ってた。
あたしの中の何かが…確かに変わりはじめていた。



