授業が始まると、いつものように教科書を開いた。
シャーペンを手に持ち、真っ白なノートを見つめる。
七歳の時にお母さんが出て行ったって言ってたけど…
七歳って、まだまだ小さいよね?
コンビニで会った妹さん、中学二年って言ってたから…だとしたら妹さんはその時四歳だったの?
三浦さん、あいつが家事もするとか言ってたよね?
休み時間のたった五分程度の間に、知らなかったあいつのことをほんの少し知っただけなのに。
何故だろう。
頭の中が、清原大雅でいっぱいになっていた。
罪悪感なんだろうか。
育てられ方、とか…あんなこと言っちゃったからなのかな。
知らなかったあいつの過去。
それを知ってしまったあたしは、真っ正面からしかあいつのことを見ていなかったことに気付いた。
タラシでチャラ男で、遊び人で。
女はとっかえひっかえ。
性格だって超最低。
だけど…
思い出すと、違った角度から見えてくるあいつの姿。
幼いあの男の子に声をかけていた時。
優しい顔をしていた。
今日だって困っていた春ちゃんのことを助けてあげたらしい。
でも…だけど…
ナミちゃんやカラオケで手を繋いでいた女の人。
今まで噂になったいろんな女の子達。
やっぱりしていることは最低で。
三浦さんは、あいつは女のことを信用できない、本気にならないって言ってたけど…それは出て行ったお母さんのせい?
いろんな想いで、頭の中がパンクしそうだった。



