最初はただの勘違いだと思った。だってお義兄ちゃんよりかっこいい人も頭の良い人も優しい人もいっぱい知っている。





同じ家で急に一緒に住むことになったから異性として興味があるだけだって。





この気持ちは恋なんかじゃないって何度も何度も自分に言い聞かせた。





でも、お義兄ちゃんのちょっと意地悪く笑う顔にみとれちゃうしお義兄ちゃんが女性の話をしているのを聞くとすごく落ち込む。





何よりも、あたしとお義兄ちゃんは血の繋がりはない。戸籍上では家族でも本当の兄妹ではない。





そう考えると可能性がある気がして。離婚しちゃえばいいのに、なんてお父さんの不幸を願って。





そんな自分が嫌になって。





結果的にお父さんの目を見ることができなくなった。





男手一つであたしをここまで育ててくれたお父さん。お父さんの幸せを何よりも願っていたはずなのに。





そんな自分が嫌で嫌でしょうがなくて。でもお義兄ちゃんを見ると、お義兄ちゃんと話すと、





苦しくなるの。





神様がもしもいるのならあたしのこと相当嫌いらしい。あたしの本気の恋、叶うわけないのだから。





今日も急に泣き出したあたしを部屋まで連れていき泣き止むまで手を握っていてくれるお義兄ちゃん。





ホントお前は泣き虫だな、我慢しないで俺に話してもいいんだよ?





お義兄ちゃんの暖かい声が余計あたしの汚い心を締め付ける。





大丈夫、絶対に言わないから。だからもう少しだけ、





【この手を握って】






あと少しで泣き止むからね





-END-