【拓真Side】


キャーキャー!


スタジオを包むのは黄色い歓声。


今は、生放送の歌番組の収録終わりだ。


「みんな、ありがとう。」


客席に向かって俺が手を振れば、歓声は更に大きくなる。


そう、これこそ俺に対する普通の反応だ。


なのに、あの女ときたら――。


「拓真君!お疲れ様〜。」


気付くと、スタッフさんが俺に駆け寄ってきていた。


「あっ、お疲れ様です。今日もありがとうございました。」


俺は即座に爽やかスマイルを作り出す。


本当の俺はこんなんじゃないが、あくまでアイドル“神崎拓真”は爽やかキャラだからな――。