あたしは思わずため息を吐いて、呆れてリビングを出た。


実はあたし数日前に、マスコミの目を盗んでアイツのマンションを出て祈織お兄さんが用意してくれた家族と一緒のマンションへと越してきたの。


おかげでマスコミからは解放されてあの日々が嘘のよう。


でも、状況はかわってないんだ、きっと。


この間の玲からの電話は幽霊みたいだった。


「……実來……ねぇ、本当なの……?山田が……神崎拓真で……相手がアンタって……!?」


週刊誌にはアイツのビフォーアフターがしっかり載っていたから、玲のパニックに拍車がかかったんだと思う。


あぁ、困ったよ……。