【実來Side】


窓の外には高層階からのぞむ都会のビルの群れ。


使い慣れないオシャレな家具の数々。


あぁ、アイツの家も落ち着かなかったけど、ここはまたうちとはレベルが違いすぎて落ち着けたもんじゃない。


「いい眺めだなぁ。ずっとここに暮らしたいぐらいだ。」


ツルツル頭のオジサンが都会の大パノラマを前に、この景色は俺のものといわんばかりに脚を広げて立っている。


「何言ってんの、お父さんは!?」


一生、暮らせるわけがない!


「そうよ。祈織君に申し訳ないわ。」


お母さんもエプロンを外しながら現われて子供を諭すようにお父さんに言う。


「そうだよね、ごめんね、ママァ。」


あぁ、またラブラブモード始まったよ……。