あと、“奪いに行く”ってなんだよ!?


アイツは俺のただのオモチャにすぎないのに何を勘違いしてやがるんだ??


それにアイツがちょっとやそっとのことで泣くわけがない。


逆に噛みつかれるくらいのもんだ!


「じゃあ、俺そろそろ行くね。実來ちゃんをよろしくね、神崎君。」


水無月祈織は手を振りながら、いつものキラキラスマイルを残して、背を向けて歩き出す。


……水無月祈織も、なんだかんだ心配してくれたんだな。


俺は去っていく背中をぼーっと見つめた。


俺はこれから何をすべきなんだろう?

どうすることが一番いいんだろう?


その時、俺の頭にアイツの笑顔と水無月祈織の言葉がよみがえった。


俺はふっと笑う。


難しく考えすぎたな……。


やるべきことは、案外簡単かもしれない――。


「あの、水無月さん!ちょっとお願いがあるんですけど。」


「どうしたの?」