「よかった。いつもの神崎君に戻ったみたいだね。」


はっ??


微笑みながらまた突拍子もないことを言う水無月祈織に俺は目を丸くした。


……なんだ、また俺をガキ扱いしてたのかよ……。


大人として慰めてたとかそういうことか?


思わずムッとして俺は腕を組む。


こういうとこが好きじゃねーんだ。


「そうだ、言い忘れてたことがあった。」


そう胸の内でブツブツ言っていると、突然思い出したように水無月祈織がじゃべり出す。


今度は何だってんだよ??


「とりあえず実來ちゃんのことは任せたけど、もし、神崎君が実來ちゃんを泣かせるようなことがあれば、すぐ奪いに行くからね。」


またわけのわからない宣言に、顔をしかめるしかない俺。


水無月祈織の顔は異様なまでの満面の笑みだが、どこか黒いオーラが見えるのは俺だけだろうか?


池田さんの黒い時より、……怖いかもしんねぇ。