今も残ってる……。


腰にまわされた力強い腕の感覚も、鼓膜を優しく震わせたアイツの甘く低い声も。


いつもあたしのことをバカにして、オタミクなんて呼んで、散々こき使って。


俺様で、いつも他人を振り回す悪魔みたいなヤツなのに、

何でそんなアイツがあたしを助けるの……?


「お前のせいなんだからな。全くいい迷惑だ。」


あの後初めて聞いたアイツの声はいつもの冷たいものに戻っていた。


でも、前よりもどこかあったかく聞こえるのはあたしの気のせい?


「……ご、ごめん。」


「それより少し厄介なことになった。記者に撮られたかもしんねぇ。」


アイツは立ち上がって壁にダラリと寄り掛かりながら言った。


てか、ダラリと言うことじゃなくない!?!?


「き、記者に!?大丈夫なの!?」


びっくりしたあたしの声は思わずひっくり返る。


まさか、記者に撮られたなんて――!