【実來Side】


……あ〜、授業がお経にしか聞こえない……。


何も頭に入らないよぉ。


……祈織お兄さんが、……まさか……。


祈織お兄さんにとって、あたしなんかただのお子様でしょ?


そう思えば思うほど、焼き付いてはなれないの――。


あの言葉が、あの強い腕が、見たこともない苦しそうな表情が。


びっくりしてあの時はよくわかんなかった。


だって、祈織お兄さんは私にとって、優しいお兄さんだから。


自分のお兄ちゃんよりも、ずっとお兄ちゃんらしくて、憧れでもあった。


すごく大事な人だ――。