「母さんは見守ってくれてるけど、親父は絶対に許してくれなかった。それで今は事務所が用意してくれたマンションで一人暮らし。たぶん今も怒ってるんだろうな……。」
あの親父は鬼だ。
こういう仕事は軽蔑してるんだろう。
「へぇ、俺様悪魔なアンタにもおそれるものがあるんだぁ。」
呑気に弁当を食べ続けるアイツは、この話に似付かわしくない軽い言葉を言う。
「少しは真剣にきけ!お前がきいてきたんだろ!」
「どうもすみませんでしたー。」
俺は軽くアイツの頭を叩くと、話を続けた。
「だから、このオーディションにかけてんだよ。主演になってあの親父に証明してやるんだ――。」


