え……?


コイツってあたし?


「ちょっとアンタ何言ってるかわかってんの!?!?祈織お兄さんよっ!!!!何勝手に決めてるわけ!?あたしと祈織お兄さんのことはアンタには関係ないでしょ!!」


あたしは思いきりアイツの肩を右手で突き飛ばした。


何でアイツがそんなこと賭ける必要があんのよ!?

ふざけないで!!


「お前こそ関係ないんだよ。これは俺と水無月さんとの勝負だ。引っこんでろ!」


アイツは今までに聞いたこともない底冷えするような低い声と、暗闇で輝く刃物のように鋭い瞳を向けてくる。


あたしは、そんな威圧的なアイツに黙っているしかなかった。


「じゃあ、俺も。俺が勝ったら、もう実來ちゃんにかかわらないでくれる?」


するとその時、この張り詰めた空気を切り裂くような冷たい声がした。


――これが祈織お兄さんの声なの……?

あたしにはその声も言葉もとても信じられなかった。


「いいですよ。まあ、負けませんけど。」


ニヤリと笑うアイツと祈織お兄さんの鋭い視線がぶつかる。


あたしはそれをただ見ていることしかできなかった……。