何だか胸が騒つく……。


水無月祈織の笑顔という壁の奥に何かを感じた気がした――。


「拓真、車まわしたから行くぞー。」


その時遠くから池田さんの声がして、はっとした。


「あっ、はい!今行きます!じゃあ水無月さん、お先に失礼します。」


「うん。お疲れ様。」


さっきまでの雰囲気は一気に消え去り、にこやかに言葉を返す水無月を見ていて改めて思う……。

この人はつかめないって……。

きっと笑顔の裏に隠しているものがある――。


俺はそう思いながらも車に乗り込み出発した。


「拓真、あの仕事の話だが、チャンスだぞ。」