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「おはよー、玲。」


あたしは教室に入ると、耳にイヤホンをつけて席に座っている女の子の肩を叩いて、声をかけた。


「あぁ、おはよ、実來。」


そう言ってイヤホンをはずしてあたしの方を向く彼女。


ミルクティー色の髪を左耳の下で結び、ばっちりメイクが施されているこの女の子は、私の幼馴染の高橋玲だ。


あたしとはかなり対照的、でもなんだかんだいってずっと仲良いんだ。


「今日もばっちりキマってますねぇ~。」


あたしが茶化すように言うと、あたしの方を向いてため息をつき足を組む玲。


「あのねぇ、実來が気にしなさすぎなのよ!」


あたしは、楽だからいつもポニーテールだし、面倒くさいからメイクもしない。


「あたしはこれでいいの!ねえ、さっき何聴いてたの?」


玲が右手に持っているウォークマンを見ながら聞いた。