【拓真Side】


「俺、ユキのこと好きだったんだよなぁ。」


俺はベンチに座って伸びをしながらさみしく笑って言った。


「ごめん……。私、先輩のこと……」


隣に座るユキの顔は長い栗色の髪で隠れていて見えない。


「そんなハッキリ言われるといくら幼馴染の俺でも傷つくんだけどな……。そのぐらい俺だって知ってたよ、あはは。」


俺は力なく笑って、涙を堪えるように上を向く。


ユキが先輩のことを好きだっていうことぐらいわかってた……。


それでも想いを伝えたのは、ユキのことが愛おしくてしょうがなかったから……。


「……ごめんね……。」


“ごめんね”の言葉がこんなにも心を傷つけるなんて知らなくて、俺は必死に涙を堪える。


「ユキが謝ることないだろ?……俺たちはいつまでも変わらず幼馴染だ。応援してるからな。」


俺に出来るのはもうそれぐらいだ……。


……今まで通り笑顔で応援するだけ。