「……い、祈織お兄さん!」
アイツはさっきまでの仁王立ちをやめ少し女らしく立ちなおし目をキラリと輝かせた。
やっぱり俺の目に間違いはなくて、モノトーンなファッションの白いトップスは夜の闇の中でも目立つ。
「こんばんは、実來ちゃん。遅くにごめんね。」
そう言いながら近づいてきて、気に食わない爽やかスマイルを振りまいているのは紛れもなくあの水無月祈織だ。
何なんだよ、このタイミング……!
「い、いえ!でも、どうしたんですか?」
「あぁ、そう、これ。実來ちゃんのだよね?」
俺が仕方なくそんな2人を傍観していると、水無月祈織がポケットからキーホルダーのようなものを出し差し出していた。
てか、こんな状況あり得なくねぇか?
この俺が、端っ子にいる画なんて!!
あぁ、あったまくるっ!!


