【拓真Side】


あぁ〜!!

なんだか最近ムシャクシャする……。


俺はセットされていた髪を片手でグシャグシャにしながら、もう片方の手で必要以上に力強く部屋に入るパスワードを押した。


ったく――!


乱暴にドアを開け入った部屋は真っ暗。


……誰もいない殺風景な、事務所に用意された部屋。


その時、何故か食事の用意された明るい茶の間が脳裏によみがえった……。


かけ離れた風景にため息が出る。


何思い出してんだよ、俺。


あんな家より、今のほうが自由があっていいじゃんか……。