動揺するアイツの瞳を見つめながら、俺はニヤリと笑って付け加えた。
「まあ、途中で破ったら、バツゲームだけどな。何にしようか?」
「……ふざけたことばっか言わないで!」
まったくコイツには可愛げが……。
そう思った瞬間だった。
腕の中のリンゴみたいな赤い顔に、
上目遣いでれを睨む瞳。
釘づけになって、なんかいつもと違う感覚になる――。
コイツ、こんな顔するんだったっけ……?
……でもそう思ったのもつかの間で、すぐにコイツは俺から逃れようとする。
俺はすぐに我に返り、回してある腕でグイと引き寄せた。
俺から逃げるなんて、100万年早いんだよ。


