そして俺はアイツの後ろに回り込んだ。


後ろからアイツに腕を回すと、アイツがびくりと跳ねる。


「ちょ、何!?」


慌てふためいて口をパクパクさせている。


意外とコイツの反応面白いよな。


じゃあ、もう少し――。


低いコイツの背に合わせて身をかがめ、アイツの頬に顔を寄せてみた。


「――はっ、はっ、はなれてよ…!」


やっぱり面白い。


ムカつくことも理解できないこともいっぱいあるが、こういう女いなかったよな。


俺は更に、耳に息がかかる距離で囁いた。


「条件は、俺の命令をきくだけだ。簡単だろ?」


間近でアイツの顔が朱に染まる――。