サンダルと弟のスニーカーが並んだ玄関、シューズボックスの上に置かれたプリザーなんとかフラワー。
玄関には家柄が表れるのだろうか。
誰かが観光地で作ったと思われる焼き物や、小学校入学の家族写真を飾ってあったり、なぜかカレンダーがあったり……
家庭によって訪問客に見せたいものの違う理由が隠されているらしく、
祖父母の家には可愛い孫である良平の写真が全面に押し出されている。
……しろ
真っ白……
制服のスカートよりも今日の結衣は露出面積が広い。
――男子目線で語るなら、女子が勝負服にしたがるワンピースやミニスカートよりも、
ショートパンツの方が色んな意味でそわそわするものだ。
ひらひらしたスカートよりも腿のラインがよく分かる点も挙げられるが、
そういう短絡的な色気などどうでもよく、
少年的な軽装の割に、少女らしい美脚の魅力というギャップにこそ情緒があるのだそう。
そんな訳で、これまた変態のようについ目を向けてしまうと、セクハラで訴えられ兼ねないので慎んでおく。
(くれぐれも彼の思考に引いてはならない。可愛い少年心だと流してあげよう)
「お客様、いらっしゃっい……上がって。どうぞ、狭いけど。あはは、極狭住宅」
「おじゃまー……、した、り。あはは」
いつまでも突っ立っている訳にもいかないので、幻の国に彼女を招き入れる。
スリッパを準備して(靴を脱ぐ仕草に広い範囲で耐える自信がないので見ないようにして)、
洋平は玄関の鍵を五つ閉じた。
やけに耳に留まる施錠の音。
なんとなく罪悪感が芽生えるのは何故――



