お金は必要だ。携帯電話代と内緒の貯金(将来両親にへと積立ている)、遊び代にデート代……

洋平がお世話になっているアルバイト先の店長がスタッフを採用する基準は、

リピーターを増やせるか、なんだとか。

そんな訳で、洋平目当てのお客さんが多いからと、時給が九百円になったのはかなり有り難い話だった。



 疲れた

  ……眠い

後三時間で明日になる空の星たちは、学校で見た時よりも気持ち光度を増している。

尤も、カーテンを閉ざしているので見えないのだが。


アルバイトがない暇な日は、アトリエ室で自習勉強をしたり、

不定期に開かれる服コ限定講演会に参加したり、

当然可愛い彼女とデートをしたり、友人と遊んだり……自由な時間が少ないので、洋平はなかなか忙しい毎日を送っている。


幸せとは何かと聞かれたら、毎日考えることがあること――と、尤もらしく堂々と答えるのだろう。

あれがしたいには何をして、それは何に繋がるのか……今したいことがたくさんあるのは幸せだと思う。

明日を計画できるなんて、凄く贅沢だと胸を張って言える。


なんて、あの洋平にしては綺麗にまとめ過ぎており、少々胡散臭い。

彼らしく格好付けずに言えば、幸せとは妄想ができることだ。

夢がないと空想が出来ないから――……例えばキスとか。


織り姫様に願うなら、一体あの子は何を祈るのだろうか。

知りたいような、知りたくないような、既に知ってしまっているような。