門限9時の領収書


教室でまで四六時中ベタベタ、友人を大事にしなくていいのか――みたいな。

例えば、恋人が出来たからと友人にめっきり連絡を取らなくなったり、遊ぶのもおざなりにしたり……

つまり週三のアルバイトシフトで予定がない日を結衣だけに捧げ、

結衣以外の知人とは疎遠になりたくはないということ。


過度な恋人優先は世界が狭いと思う節がある洋平だ。

片思い最中なら最優先するのは好きな人で、友人もそれを理解してやるのが友情だと思う。

一方で、既に恋人の関係になったのなら、いつまでも好きな人ばかりを特別待遇するのはおかしいはずで、

友人と会うことを我慢……、ではなく理解できることが良い関係だと結衣と洋平二人は考えている為、

そんな風に似た価値観がまた嬉しい。


お昼休みや授業の合間、放課後や休日、――どんな時間もを恋人にばかり費やすのは、せっかくの学生、勿体ないではないか。

自分たちの恋は、たくさんの人がいて成り立っているのだから。

傲慢にはなりたくない。

たくさんの人が居る中で大切な人。

よくヒーローが、『世界中の皆が敵になっても俺はお前を愛するよ』とか、『お前を守るよ』とか言う定番があるが、

(女子が惚れたりキュンとなるシーンらしい)、

三流の洋平はそんな格好良いことを決められない。

なぜなら、“世界中の皆から認められる”類いでありたいからだ。

だから自分の世界――学校や地元、アルバイト先、家族、そんな毎日で敵を作らずにほのぼの愛していけたらと願う。

どうせなら、『世界中の皆が敵になったなら俺と一緒に平和を叫ぼう、お前も協力してくれ』と言いたい。

……乙女心ガッカリ名台詞なのだろうけれど、オレ論を貫けばパーフェクトだ。