門限9時の領収書


彼女のお弁当は肉肉肉としないところが好きだし、味も好ましいし、

ちゃんと野菜を盛り込んでくれるから好きだ。

“おままごと”が好きなそうで、料理本片手に月曜日だけは張り切るらしい。

そうやって飾らず手の平をさらけ出すところが好きだ。


自分でもよく分からない価値観なのだけれど、

お肉を使った料理が一つメインであるのに、同じ食卓に牛肉、鶏肉、豚肉を並べられると、洋平は変な気持ちになる。

例えば牛丼に対して豚しゃぶサラダ、からあげに対して肉じゃが、トンカツに対して棒々鶏、

なんかよく分からないけど、肉肉肉で変な感じがする。


いくら成長期とは言え、そこまで本能のままに食べたくない。

バランス良く野菜を摂りたいし、何年後かの体調を見据えたい。

そう、お肉は野性的なような気がして、理性的な食事を心がけたい洋平だ。

だから当然、後先考えずに彼女を押し倒す訳にはいかないタイプ。

 ……。


健康志向が強いつもりはないのに、友人周りで見るとこんな思考はダメなのかもしれない。

一緒に居る時なら空気を乱したくないから食べるし、美味しいと思うのだが、

油っこいモンとか脂肪分が高そうなモンとか、糖分とか……挙げだしたらキリがない。

自分でも嫌になる。出されたら食べるものの、ガッツリ系を進んでは食べない。

家庭環境は、こういう風にちょっとしたことに影響を出すのだと思う。

だから食生活にはその人らしさが垣間見れるのだろう。


つまり、付き合って三ヶ月の現状が、すべてを物語っている訳だ。