門限9時の領収書


 雅くらい格好良くなりたい

自分に自信があれば、彼女をすぐに独り占めできているのだけれど。

既に聡明な方にはバレているだろうが、洋平はなかなか痛いタイプなのだ。

というのも、一年の時に髪を煉瓦色に染めていたのは、明らかにイキがっていたからだと今なら恥ずかしく思うし、

単純にカッコつけたかったから。だから染めていたのだろう。

十年以上前は金髪が流行った、“カッコイイ イコール パッキン”で、(パッキンは死語なのだろうか)

子供心に憧れ、いつか高校生になったら……と夢見ていた。

しかし時代は流れるものでロン毛はツンツンヘアに、ウルフヘアに、ホスト盛りに……

そして細分化され皆が自分の好みを選択するようになり、一概にブームとは呼べなくなった。

高校になった頃には、金髪や明る過ぎる色は懐かしい時代に変わっていた。

そう、流行りや定番は変化していく――役者さんやミュージシャンやデザイン系というかクリエイティブな仕事の人は似合うけれど、

あくまで高校生の中で考えると、“校則違反にひっかかる俺”的な演出にしかならないカラーリングは非常に赤っ恥だと知った。

入学当初は浮かれて染めちゃってた自分が……痛いなと実感できた。

そう、恐らく洋平はモテたくてカッコつけるタイプなんだと思う。


女の子は天然がキーでぶりっ子をするが、男の子の場合はワルがキーで不真面目を演じる。

思春期の男女はなんて努力家なのだろうか。

頑張っている方向が間違っていることに彼らが気付くのは、人によって時期が異なる不思議。