男友達・男同士・仲間、そんな感じで腹を割って話した悩み事も、

年頃だからか秘密のネタは暴露され、あっという間に噂になり兼ねない。


しかも思春期の恋愛相談となればディープな内容は内容だけに、

自分だけではなく彼女を傷付けることになるかもしれないのだ。

その為、男子高生が迂闊に恋愛事情を語るのは大変危険である。

しかし相手が雅なら、その点に何も危険性がない。


また、可愛い彼女を持ってしまうと、羨ましさの反面やっかみを買いやすいので、

相談をしたせいで恋人をけなされたりダメ出しをされたりする。

だから、どのみち男子高生にとってパートナーの話を持ち出すのは厄介なのだとか。


しかし、自分自身がカッコイイ雅なら、

可愛い結衣に文句を垂れたり、可愛い結衣に愛される洋平に嫉妬をすることもない。


むしろ、

『ふうーん、いいな』

と言った具合に、自分たちカップルをいつも素直に羨んでくれる。

(自分だって彼女が居る癖に、なぜだかいつも相思相愛って良いなと笑いながら言うのは謎だ)


早い話、雅が居なければ結衣と付き合えていないのだ。

なぜなら、彼を信頼するのは洋平だけではないからである。

 ……。

近藤洋平と田上結衣の交際に市井雅が必要。

それを改めて実感することになるのは、まだ先のこと――……


と、何かしら予兆を匂わせようが、平凡な高校生を無難に熟している洋平とその周りには、

たいして何もハプニングなど起こらないだろうし、劇的なトラブルなど遭遇しないのだろうけれど。