あの淡い笑みが好き。
ガラスの彫刻のように綺麗で繊細だから、触るのを躊躇う。

見ているだけで精一杯なのだ。


「んー、はは、そう。それでお腹一杯なっちゃう感じ。

あらー笑顔かわいーですねー、あらーいいですねーで、総合演出! みたいな。だって向こうさ……」


ぐだぐだ話しをしている洋平に痺れを切らしたようで、けれど表情には出さず、

プリントの端を手持ち無沙汰に折り曲げ、雅は退屈凌ぎをしている。

なぜだ、自分的には男子学生らしい切実な悩みを打ち明けていると言うのに、

……そんなにツマラナイのだろうか。


  だって……、

 ……田上さんって。

「なーんかさ……、目が合っただけで今だにポって赤くなる。

男として、意識してびくびく構える感じのじゃなくってさー、

単純にー、まだ彼氏彼女に慣れてない感じ。純粋に照れていっぱいいっぱいな感じ?」

愚図な洋平は彼女の態度について、自分より恋愛経験豊富と思われる少年に一生懸命説明することにした。

友人的なノリの時は無限に会話が続いて、かなり打ち解けてきたのだと。

しかし、いざ狙えるかと洋平が思った時にはもうだめで、少し見つめると向こうが照れ照れになって真っ赤なのだと。

要するに、彼女がそんな初々しい感じなのに、そこをガツガツしたら彼氏としてダサいのではないかと。

仮にも彼はオシャレな服コの一員なので、恋愛だってセンス良く進めたいもの。


洋平は話し過ぎなんじゃないかと問われるくらい、口が軽そうだと嫌悪されるくらいカミングアウトをしようとも、

同級生の雅にはなんだかんだ家族並にガッツリ心を開いているので問題ない。

というのも――……