門限9時の領収書


付き合ってないのにチューしちゃう人も居るし、自分から告白しておいて体に飽きたらサヨナラする人も居るし、

それ関連が切り札なのか相手を知る基準とする人が多く、

学校には色んな人が居る。


今していることが結果となり未来の自分を作るのだから、
様々な経験が将来役に立つかもしれないのだから、

洋平は自分と異なる愛を嗜む大人な彼らを否定しない。

微妙と思っても、微妙と決める価値観は長年の生活から完成したオリジナルで、

そうなると自分の感情を正しいと相手に主張するのは、微妙な気がするからだ。


穏便に済ます方法は大人になると重要で(当然時と場合によるが)、

理不尽な目に遭っても黙ることが正しいこととなる出来事が増えるのもまた事実。

それは立派な人。
――けれども洋平が大人に該当する訳がない。


凡人の彼はヘタレに追随している為、誰かとぶつかるのが面倒だから、日々冗談をばらまくのだ。

そう、ティーンの武器である無料の勇気がないから、大人の見解という言葉に甘え、

青春腐さから逃げることに慣れてしまっているだけ。


例えば体育祭、クラスのメンバー内で揉めて対立する事態になったなら、

洋平は笑ってごまかしどちら側にもつかなかったし、


例えば万引きをしている同級生を見かけても、本人を咎めず大人に報告せず、

ただ笑って怪盗だとあだ名を付け正義を果たさなかった。


ガキ共め、とシリアスな場面では必要以上に関わろうとしてこなかった。

そうやって子供臭い茶番劇に介入をせず、一歩引いている自分は大人なのだと酔っているタイプとも違い、

自己陶酔することはお子ちゃまだと自覚した上で、あえてそっちの道を洋平は選んだ。


特別な理由などない。
わざと大人らしく振る舞う子供らしさが、幼稚で楽しかったからだ。