結衣と洋平は……いずれ結婚するのだろうか。
あるいは数年後に別れてしまうのだろうか。
泣いたり怒ったり我が儘をしたりして、いつの日か相手を傷付け嫌いになるのだろうか。
ずっとずっと傍に居たい――好きの終わりなんて知りたくもない。
いつかの未来、お嫁さんになってほしくて――結衣は白が似合う人。
花嫁の色、素敵な色。結衣の色。
時計の針は心音のように穏やかな気持ちにさせてくれる。
これから前髪の長い男子高生が話す内容は、
恐らく聡明な大人たちからすると、ため息を零したくなることだろうが、
まだガキな彼が一生懸命考えた気持ちなので、良かったら戯言を聞いてやってほしい。
賛同の強制はしないが、どうか何か感じとってほしい、――どうせ洋平は説明が下手くそなので、上手くまとめられないのだけれど。
これはきっと、好きな人が居る人には まあまあ大切なこと。
「中学の。女子で。んー、妊娠したんだけど。彼氏か浮気相手かどっちの子か分かんなくて。命がどーたらって一人、産んだんだけど。
子供産んだ後。ね、放棄しちゃって。遊びまくり。産んでオシマイ実家にお預け。本人帰って来なくて。ふらふら遊んで。
……子供だって親選べないんだよ」
それが“小野沢さんち”
ネグレストとか虐待とか詳しいことは半可通な洋平だから知らないが、
実際、元・同級生にはそういう人生を歩み、ママになってもアタシだしと育児をおざなりにしている子も居て、
まだ学生まだ幼い自分には、なんだかやっぱり大切なことはよく分からないのだ。
それが良いのか悪いのか、答えを知っているのは誰なのだろうか。



