手を伸ばしてみると、シーツの上に大小様々なビジューがあった。
裾に刺繍をしたハイウエストのスカートを作りたい。
中にブラウスを入れたら、きっとお嬢様みたいで可愛い。
メンズではなくレディースばかり選んでしまうのはなぜだろう。
ちなみに通学時には空いている区間に限り電車の中でデザイン本を読んでいる男子高生は、
乗客たちからすればどう映っているのだろうか。
煌めく石を指先で突く。
節が浮き出ている手は目で分かる男らしさ。
……。
誰よりも色白のあの子が好きで、洋平は経験があって――
なんとなく中学の時に早まってしなければよかったと後悔してしまう。
どうせなら結衣が良かった。
けれども自分の判断で築き上げた昔の“恋愛”を悔やむ男を彼女は幻滅するだろうから、
やはり元カノとのお付き合い――あれはあれでありだったはずだ。
現に楽しかったし。あの時はあの頃で嬉しかったし。
結衣とは違う女の子を好きだった中学があるから、高校の洋平は結衣が好きになれたのだから大丈夫。
キャンディーに似たそれを一つ、右手に包んだ。
大切な地上のお星様。
「なんかさー……なんつーの、俺、多分あんま意識されてない」
『話が飛ぶなー?』
「やー、田上さん多分俺が一分見つめたら死ぬな、うん。十秒でも殺せるわ、あはは」
惚気かと笑う雅に、洋平は一方的なお喋りを止めずに唇を動かした。
まだ甘味を知らない赤を。
皆に言わない分を、大人な彼に甘えてぶつけているのかもしれない。
普段抑えているからこそ、時々こうしてガス抜きをしておかないと、
きっと愚かな自分は強引に押し倒してしまうから。
「だってなんか怯えてドキドキより、まだ全然ときめき? に、ドキドキして精一杯っぽい。はは」と、
お子様らしく友人にカミングアウトだ。



