「しちゃったらさ、そればっかなるだろ。そんな男になったら嫌だなーとか、そゆん関係なく愛してぇなーとか。あはは、一人語りごめん、流して。
でもさー……なんか。まあ、好きだからそーなりたいなーとは普通にあるけどな?
でも、さ。なんか嫌なんだよ俺。ちゃんと惚れてるから、顔とか体じゃなく中身に、はは」
デートの度に抱くのはどうなのか。
体目当てなようで後ろめたい。
けれども好きだからこそ洋平は求めたいと思う訳で。
この矛盾をどう説明すればいい。
クラスメートの女子によると、女という生き物は体ばかり求められると“切なくなる”らしいので、
そこの限度なんて自分は男だから分からない。
閉じ込めてしまいたいし、離したくないし、気持ちを無視して溺れてしまえると断言できる。
だから顔を見れば寝かせたくなる。
つまり洋平は非常に愚かな彼氏なのだ。
暗がりで見えるのは何。
何を見たくて何を見たくないのか。
母親と父親、弟。普通の家族。
なぜ両親は結婚したのだろうか。何を想い結婚を決めたのだろうか。
入籍したのは長男の誕生日より半年前。それはつまり――……
「なんか。今日、さっき会った中学の友達? 堕ろさせたんだって。なんつーの、悪いとかじゃねぇんだけどさ? タイミング悪ーって。笑って……普通に。
なんか、うーん……わかる? そいつ、格がある的に語ってて……武勇伝的な」
これから繰り広げられる高校二年生、元カノ一人今カノ三ヶ月の男子によるテーマは、
賛否両論あることだろう。
果たして“愛”とは何なのだろうか?
――なんて、ゆるい恋愛モノの癖に弁論大会並の問題を提起してみたのは、洋平の気まぐれ。
どうせお子ちゃまな彼による知識ゼロの見解なので、全く何も響かないであろうが、
掃除の片手間にでもいい、ガッツリでなくていい、適当に考えてみてほしい。
痛い洋平によるお喋りを幼稚だと蔑むものの一緒に悩んでくれた人は、きっといい人。
夜とは本音をさらけ出せる便利な時間――……と、自然を持ち出し、神妙な感じを演出してみただけ。



