個人個人の席の真上――天井には、神経衰弱のように本人の顔写真がアートとして貼られている。

照明を退けて空で笑顔を撒き散らすのは、

“服コ”と呼ばれる学年で とりわけ人気の高い生徒たち。

服飾コースという特性の賜物だろう、クラスメートは皆オシャレでハイレベルだ。

(女子の中に男子数人のハーレム状態の為、よく羨ましがられるが実際は、……。)


そんなF組の女子生徒たちはファッション雑誌に勝る程の凝った髪型やメイクをしており、

男から見ても普通に尊敬する――倍率の高いコースを受験しただけあると認められる容姿だ。

そう、難関を突破した美意識を究めた連中だと言えるだろう。


 ……。

しかし、自分が彼女たちの誰かの彼氏になれるのかと言われたら、

(彼女たちも拒否するだろうが)、

オシャレ過ぎて隣を歩くのが自分では不足な気がする為、イマイチ女として見ることができない。

言うならば同志だろう、恋愛対象にはならない。

というか、クラスの過半数が女だからと女子校のノリを持ち込むので、男は非常に肩身が狭い。

ここでは言えない類いの話を平然とするから、(要するに年齢制限アリなえぐい話題ばかり)、

女性不審になりかけて――また自分に自信をなくし、必然的に恋愛対象外となった訳だ。

(女子は女子だけになると男子より優しさのないお喋りを好むのだと知った少年的苦いメモリーの一つ)


その点、唯一洋平が胸をときめかすプリクラの中の少女は――