ミラーボールが天井で回り、水槽が壁にあり、でっかい画面にはCATVのJ−POPカウントダウンが流される店内は、

定番曲を歌いあげ、三時間してからびっくり、

わちゃわちゃとした大学生らしきグループばかりだった。


「うわ、混んでるなー」と洋平が言うと、結衣は予約していて良かったと褒めて笑うから、

それだけで幸せを感じたのは秘密だし余談過ぎる。


今日は奢ることにして(洋平が最低点を叩き出した為)、会計を済ませて出口まで向かうその時――……


『結衣ー?! 何、うわっ、久しぶりー』

一人の声を筆頭に、溢れたのは四人分の会話。

久しぶりとか痩せたとか再会を思わせる単語の嵐に、

結衣も「わ、みんな! 久しぶりー、えーウケる!」と、確か手を振っていたように思う。


派手な部類に入る他校生の女子軍団が居て、それらが彼女の中学時代の友人らしかった。

彼氏かと驚く言葉を合図に、一気に四人の鑑定師らが観察をするので、

少しキメ顔を作ったまま洋平は男子高生としてのプライドを守りつつも、厭味なく笑って対処した。

第一印象が全てだ。
どうせなら陰で、『結衣の彼氏カッコイイ』と、評判の人でありたいではないか。


そう、彼は若干ナルシシズムな面を持ち合わせているが、十六歳。

普通に皆も自己愛があって当たり前だろう、もちろん不快にならない範囲内でだけれど。


五人は久々の再会らしかったので、トイレに行くからと気を遣って洋平は輪を離れた。

こういう当たり前の配慮が最近の若者には欠落していると叫ばれているが、

正に最近の若者である自分は、人並みにきちんと分かるので、

やっぱり大人たちの戯言は謎でしかないとクレームを付けながら去ったのは蛇足エピソード。



そして二、三分を見計らって結衣たちの場所に戻りかけた洋平に聞こえたのは――