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イメージ的に夜は真っ暗とされるが、意外と外は明るくて遠くまで見えたりする。
故にカーテンを締め切った昼間の部屋の方が暗かったりする。
……ブラインドを止めて遮光性に富んだ物で太陽を追い出し人工的な闇を作る方が、気配り上手な彼氏の気がしたけれど、
あいにくリフォームをする資金がない。
きらきらな星は何個あるのか数えたらきりがなさそうだし、
さすがにそこまでロマンチックにはなれないし、首が疲れそうだから遠慮したい洋平だ。
時間が足りないくらいすることは山ほどあるのに暇人モードな少年は、
ブラインドの隙間から夜空を追い出した。
……なんか、
罠?、嵌められるし
彼女――結衣はモテてきたのではないだろうか。
本日の放課後デートを思い出し、彼氏である洋平は今 少し不安になっている。
それは数時間前のこと。
バッタリ結衣の中学時代の友人に遭遇したのだが、
彼女が親しげに接する皆は、すこぶるオシャレだったから――心配になる。
センスが良い女子は自然に相応しい男子とつるむ鉄則、教室の必然。
つまり、中学の時に結衣が仲良くしていた男友達も、きっとレベルが高かったに違いない。
つとんとした髪が綺麗で、いつも甘い缶詰みたいな香りがして、白い肌が特徴的な可愛い彼女――……
わざとらしくため息を零した洋平はプリクラを眺めてから、もう一度深く重たい息を吐き出した。
『良かったねー』
それは結衣が旧友らと談笑している時に聞こえた言葉。



