欲張りとは違う恋愛がしたい、……たとえ我慢に値しようが愉快で馬鹿な恋愛がしたい。
幼稚な話だと笑ってくれて構わないが、
洋平はクラスメートたちのように、付き合ってすぐに抱いてしまいたくはないんだとか。
違う愛し方をしてみたくて――時代錯誤に。
説明できないけれど、結衣が好き。
三流の自分だからこそ、もっとしっかりした恋愛がしたい。
もちろんこだわっているのは向こうではなく、こちらだと腐るくらい分かっている。
それでも綺麗に言っちゃうなら、心の繋がりを優先させたくて――きっと洋平なりの夢。
願いを叶える星と商談を成立させたなら、あの子を幸せにできるのだろうか。
左耳に付けっぱなしのピアスは、艶消し加工のくすんだシルバーでシンプルなもの。
コンプレックスを隠すことを目的に伸ばしている髪の毛に隠れているので、
普段は姿を現せない秘密。
いつか笑いながら触ってみてほしい憧れは内緒。
耳……
好きな女の子の笑顔の隣で、いつも流れ星のように揺れている。
目にする度に洋平の恋心は嬉しがるから、宥めることが大変だ。
夜空に煌めく星屑たちに願いは一つ。
ううん三つ、いいや七つ。
心の中で誰かにおやすみと呟いた。
けれども洋平は魔術師でもないしロマンチストでもないので、メルヘンな天の声――幻聴は聞こえてこないのだけれど。
…‥



