恋愛のペア画像を待受にしている仲良しカップルがいるけれど、

彼にとっては、プリクラ同様それもなかなかハードルが高い。

ハートを半分こにしたやつとか、愛の詩のやつとか、イニシャルのやつとか……


 普通に恥ずかしって

恋人に染まってます、恋愛してます、というピュアな感覚が洋平的に凄く照れ臭いらしい。

それらは友人周りで自然に流行っているので、抵抗がある彼の感性が皆と違うのだろう。

人それぞれ、よしとする。


――こういった具合に彼は途中までいくと物事をあまり深く考えない。

“まあいっか”、と。雰囲気で生きていけたら幸せだ。

その癖、最近一つの事項に悩みまくっているのだけれど――それはまだ秘密。

(なんて勿体振ろうが、キスということは明確であろう。

それに気付いていようが、ティーンエイジャーの自尊心を傷付けない為に、ここは内緒にしておいて)


  可愛い……

液晶画面に浮かぶ彼女を眺めるだけでニヤけてしまう洋平は、だから幸せ者だ。


――携帯電話は人の内面を反映していると思う。

電話帳に入力した結衣の名前にハートを付けられないし、彼女専用メールフォルダーなんて作れない。

友人に携帯電話を貸した時にうっかりバレたら恥ずかしいから、

恋人仕立てにはできない訳だ。

待受画面は冬に弟と作った雪だるまというアットホームな写メだし、

着うたも滅多にダウンロードせず、ほとんどが初期設定のままだ。


そう、バカップルだと思われたくないのが近藤洋平。
(プラス携帯電話ダイスキ人間だと思われたくない)


散々べた惚れ溺愛バカップルにならないよう気をつけている洋平は、

言い返せば彼らに憧れているということなのだけれど――……

本人は捻くれているので、気付かないふりを心掛けているんだとか。