「しゅーくんが呼んでるよーう」

「ありがとーう」

んで、学校中のアイドル三崎終君は私の友達なわけで。
こうやってたまにCDの貸し借りをしたりとかしてて、実は仲良くて。
三崎が私を訪ねてくるたびに、ちょっと視線が集まる。

「よっ、三崎」

「ああ、うん」

ああうんってなんだよ自分で呼んだくせに、なんて笑いながら教室を出る。
教室では視線が多くて落ち着かないので、三崎と話すときは大体廊下か屋上。
今回も例外ではなく、廊下まで出て三崎に要件を訊く。

「で、要件は?」

私の言葉に、少し難しそうな顔をする三崎。
何をそう悩む必要がある。
せめて言うことまとめてから来い!

「いや、一緒に帰んないかなーって?」

三崎は謎の疑問形で答えた。
うん、よかろう。

「いいですよー」

「そ、そう?じゃ、圭呼んでくる」

圭?けい?ケイ?K?
もしかして宮増圭?
マジか!?それはキツい。
しかし苦手だなんて言えるわけもなく、否応なしに宮増が連れてこられた。

「…どーも、五樹さん」

「あ、どーも宮増君」

なんというか、よく私の名前覚えてたねこの人。
ある意味すごい。
ってか普通にすごい。私、席が近くなって初めて名前知ったくらいなんだけどな。

「ふふ、五樹透乃でしょ?」

私の名前はよく逆さまに覚えられる。
正しくは『いつき・とうの』なのだが、大体みんな初めは『とうの・いつき』といってしまう。
はじめてかもしれない。
初対面ちゃんと名前を言ってくれた人。



第一印象は、私の天国をうばったやつ。

第二印象は、ちょっと変わってて絡みづらいやつ。


今の印象は、彼の持つ黄色のブックカバーがとてもよく似合う、笑顔の可愛い、友達の友達。