「でも、王を倒すなら、気をつけてほしい事があるの」

「何だ?」

シチューを味わいながら、話半分で聞く。

「魔剣はあまり使わないほうがいいよ」

「はあ?」

「今まで魔界の王を倒すなんてしなかったから言わなかったけど、魔剣は力の強い魔力を好むの」

今まで人間界の雑魚魔族を相手にしてきた。

だからこそ、何も起こらなかったと予測するのは正しい。

魔という文字がつくだけはある。

曰くつきなのは鍛冶屋が言っていた通りだ。

「王には強い魔力が存在する。当然王を斬れば」

「休暇中の魔剣が覚醒するってか?」

「そういう言い伝えがあるよ」

「魔剣は意識を乗っ取るらしいな」

「魔剣の話、聞いたんだね」

「仮にそれが本当だとして、意識を乗っ取られるという理由をしってるか?」

首を振ってるところ、分からないようだ。

「意志の問題だ」

「そんな簡単な問題じゃないと思う」

「簡単だ。意志が強ければ、ねじ伏せる事だって出来る。それが出来なけりゃ食われる。それだけの話だ」

「虎の考え方、すごいね」

半ば呆れてるのは表情から伝わってくる。

「噴火したら、その時はその時だ」

その言葉を吐いたと同時に、皿の中のシチューは殻になっていた。