獅子の生きる道

「宿主が息絶えたらどうなる?」

「どうにもならないさ。体が消滅しただけで、マカ・アムルは剣に戻るだけだ」

要は自分の好き放題やった後で、また剣に入って宿主を探すだけになる。

伝承が本物であるなら、この語らぬ魔剣を使うのは避けるべきだ。

別に魅入られているわけでもないし、今すぐにでも捨てようと思えば捨てられる。

しかし、魔王を倒す上で、剣は必要不可欠。

魔王というのだから、普通の剣では倒しようもないだろう。

技だけで倒せという単純なやり取りで終わるのなら、そこらにいる魔族と一緒だ。

魔王が魔王である所以、それは何かしら得意な物に秀でていたからだ。

普通の魔族では到達出来ない、その場所にいる。

だからこそ、人間である俺には倒せないと、情報屋は言った。

何故倒すという回路になっているのか。

倒すという目的はどこからやってきたのか。

俺は見に行くだけだといったが、それは嘘だ。

魔王がいるのなら、魔王を倒す。

何故、倒すのか。

それは、魔王だからだ。

人間の敵だからだとか、生活を脅かしているからとか、そんな人間に御伽噺を残すような希望ではない。

相手が強いから倒しにかかる。

時に理性よりも本能が上回る事がある。

俺にとっての本能とは、どんな強い相手にも立ち向かうという事だ。

ただ、勝ち目をつくる為の努力や試行錯誤は行うがな。

恐怖はないのかと聞かれれば、あると答える。

だが、恐怖に怯える自分は嫌いだ。

だから、立ち向かう。

それが強がりと言われてもだ。

どんな強い相手でも、敗北するかもしれなくてもだ。