「転校?」

高校から帰宅し、夕食を頬張っていた時、お父さんが真面目な顔をして告げた。

「あぁ、お父さんは新聞社に勤めているだろう?それでちょっと転勤にな…」

だから、引っ越すって。
まず考えるのは友達のこと。
今の友達と離れるのは嫌だ。私が地味だから虐められたらどうしよう…。新しい友達出来るのかな…。
沢山の不安が滝のように頭の中に流れこんでくる。
新しい高校は、聖帝高等学校というところらしい。


「木波はもう16だが、置いて行く訳にはいかないしな」

「…お母さんは?」

母さんが残ってくれるなら私はわざわざ転校なんてしなくて良いんだもん。お母さんはどう思ってるんだろう…

「何言ってるの、私も勿論パパについていくわよ。戻って来れるかなんて分からないんだから。それにママ、パパと長い間会えないなんてたえられなーい」

そう言ってお父さんに抱きつき、頬に口付けた。
まったく…いつまでも新婚気分なんだから…。