朝になると、
彼女はすでに
いなかった。

体育倉庫を
出ると
「夢丘?」
「ゆっ 祐斗様!?」
「何してんの?」
「……。」
夢丘は
渡り廊下 近くの
濡れた土を
均(なら)していた。
「もしかして、
愛梨に水、かけたの
お前?」
「!!!!
なんで、祐斗様が
知ってらっしゃるの?」
「なんで
愛梨に嫌がらせ
したりするんだ?」
「…。」
「あっそ。
じゃあ、竜也に
言っとくわ。」
「えっ?」
と 言いながら
青ざめていく
夢丘。
「竜也、正義感が
無駄に強いから
イジメとか
してるって
知ったら、もう、
口もきいてくんねぇ
かもよ?」
「それはイヤっ!」
「じゃあ、どうして
愛梨に嫌がらせ
すんの?」
「…好きなの…。
竜也様が…。」
「そんな事、知ってる」

前から、気づいてた。
夢丘が竜也の事を
好きだという事は。


「気に
入らなかった」
「何が?」
「…。」
「何が、
気に入らなかったの?」
「た 竜也様が
あの娘を見て
何度か微笑んで
いたり、
楽しそうに
話していたり
してたから…」
「妬いたんだ?」
「お願い。
竜也様には
言わないで!」
「…わかった」
それだけ
言って、家の奴が
待機してる車へ
向かった。

{《 竜也様が
あの娘を見て
何度か微笑んで
いたり、
楽しそうに
話したり
していたから…》か…
やっぱ、竜也は
愛梨の事、
好きなんだろうな。
でも…
俺だって











負けられない}